サッカー日本代表の伊藤純也選手に対して、女性2人が「同意のない性的な行為をされた」として刑事告訴したことが大きな話題となりました。しかし、伊藤選手側はこの告訴を「全くの虚偽」として、逆に女性たちを虚偽告訴で刑事告訴しました。この騒動における事件の流れ、虚偽告訴の罰、そして現在進行中の検察審査会について、法的な観点も含めて解説します。
騒動の経緯
2023年6月、大阪市内のホテルで女性2人が伊藤選手に対して「同意なく性的な行為をされた」として刑事告訴しました。この告訴に対し、伊藤選手は「全くのでっち上げ」と主張し、虚偽告訴として反告訴しました。この結果、女性2人も書類送検されましたが、2024年8月、大阪地方検察庁は「嫌疑不十分」として、双方を不起訴処分としました。検察は、「必要かつ十分な捜査を行ったが、起訴するに足りる証拠を収集できなかった」と説明しています。
不起訴処分とは、検察が犯罪の嫌疑が十分でない、または証拠が不十分であると判断した場合に行われる処分です。つまり、起訴に至るだけの証拠が集まらなかったため、刑事裁判に進むことができなかったということです。
虚偽告訴とは？
虚偽告訴とは、事実に基づかない犯罪を他人に押し付けるために、故意に虚偽の訴えを行う行為を指します。これは刑法第172条で規定されており、虚偽告訴を行った者には5年以下の懲役が科される可能性があります。
今回のケースでは、女性2人が虚偽の性被害を訴えたとして、伊藤選手側から虚偽告訴の告訴がなされました。しかし、検察はこれについても「証拠が不十分」として起訴を断念しました。
検察審査会とは？
検察審査会は、市民が検察の不起訴処分に対して意義を申し立てることができる制度です。検察が不起訴にした案件について、「本当に不起訴で良いのか」を第三者の市民が審査し、再度判断を仰ぐ仕組みです。審査の結果によっては、検察が再調査や再起訴を行うこともあります。
伊藤選手は、大阪地検が女性2人を不起訴としたことに納得がいかず、検察審査会に審査を申し立てました。この申し立ては2024年8月23日に行われ、審査会が今後、不起訴処分が妥当だったかどうかを検討します。
検察審査会への申し立て後の流れ
検察審査会が審査を行った結果、以下のような3つの可能性があります。
- 不起訴相当：審査会が不起訴処分を支持し、「不起訴相当」と判断した場合、処分は維持されます。
- 起訴相当：審査会が「起訴すべき」と判断した場合、検察は再度捜査を行い、起訴に向けた対応を検討することになります。この場合、裁判に進む可能性が高まります。
- 再度の不起訴：仮に審査会が起訴相当と判断しても、検察が再度不起訴にすることも可能です。この場合、再び審査会にかけられ、最終的な判断が下されます。
検察審査会の結果次第では、今回のケースが再調査され、女性たちが再び法的な責任を追及される可能性があります。
今後の見通し
伊藤選手にとって、この検察審査会の結果は非常に重要な意味を持ちます。虚偽告訴が認められることで、名誉回復を図るとともに、さらなる法的措置を講じることも視野に入れていると考えられます。一方で、女性2人の側も不起訴が維持される可能性があり、今後の審査会の判断が注目されます。
今回の件は、虚偽告訴がいかに深刻な問題であるかを再認識させるものであり、検察審査会の役割も改めて注目されることでしょう。
まとめ
伊藤純也選手に対する性被害告訴とその後の虚偽告訴事件は、証拠不十分で不起訴処分となりましたが、伊藤選手は検察審査会に審査を申し立てています。虚偽告訴が認められるかどうかは、今後の検察審査会の判断に委ねられており、その結果次第で法的な展開が再び動き出す可能性があります。
検察審査会という市民参加型のシステムを通じて、今回の事件がどのような結末を迎えるのか、引き続き注目が集まっています。
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