Meta(旧Facebook)のCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏が、バイデン政権からFacebookに対してCOVID-19ワクチンに関する投稿を削除するよう圧力を受けていたことを暴露しました。この発言は世界的に大きな注目を集めており、SNS上での検閲の問題が改めて浮き彫りになっています。また、Meta社はファクトチェック制度の変更も発表しており、この動きが表現の自由に与える影響について議論が巻き起こっています。
日本でも、SNSの情報規制や政府からの圧力が表現の自由にどのように影響するのか、憲法の観点から考えることが重要です。本記事では、
- Facebookへのバイデン政権の検閲依頼
- Meta社のファクトチェック変更
- 日本の憲法における検閲禁止規定
これらのトピックを掘り下げ、SNS時代における情報の自由と政府の介入について考察します。
Facebookへのバイデン政権の圧力と検閲問題
マーク・ザッカーバーグ氏の暴露内容
2024年8月、ザッカーバーグ氏はジョー・ローガンとのインタビューで、バイデン政権の高官たちがCOVID-19ワクチンに関する投稿の削除を強く要求したと明かしました。その際、政権側はMetaの幹部に対して「怒鳴り散らし、罵倒する」ような態度で圧力をかけたと語っています。
この圧力は特に、ワクチンに関する懐疑的な意見を含む投稿を削除するように促すものでした。ザッカーバーグ氏は、Metaがこれらの要請に対応したことについて、「政府の圧力に屈しすぎた」と後悔していると述べています。
この暴露は、政府がSNSプラットフォームに対して「間接的な検閲」を行っていた可能性を示唆しており、アメリカの憲法修正第1条(表現の自由)の侵害に当たるのではないかとする批判が出ています。
Meta社のファクトチェック変更
2025年1月、Meta社はアメリカでのファクトチェック・プログラムの廃止を発表しました。これにより、Facebook、Instagram、Threadsなどのプラットフォームで行われていた第三者機関による事実確認の仕組みが廃止され、代わりにユーザーが投稿の正確性についてコメントできる「コミュニティーノート」方式に移行すると発表しました。
フェイスブックとインスタグラムのファクトチェックを廃止、米メタが発表 – BBCニュース
ザッカーバーグ氏は、ファクトチェックが「検閲の道具として使われていた」ことを認め、これがプラットフォームの信頼性を損なう結果になったと語っています。一方で、ファクトチェックの廃止については、誤情報の拡散やヘイトスピーチの増加を懸念する声も上がっています。
日本における検閲の憲法上の位置づけ
日本国憲法第21条の検閲禁止規定
日本国憲法第21条では、「検閲は、これをしてはならない」と明確に規定されています。
第21条(表現の自由)
- 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
- 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
ここでいう「検閲」とは、公権力が表現物の内容を事前に審査し、不適切と判断したものの発表を禁止する行為を指します。このため、日本では政府が事前にSNSの投稿を削除させるよう圧力をかけることは憲法違反となります。
事後規制と検閲の違い
日本の法律では、事後規制(名誉毀損などの法的措置)は認められる一方、事前の検閲は憲法で厳しく禁止されています。
例えば、名誉毀損や違法コンテンツの削除要請は事後規制として正当化されることがありますが、投稿前に政府が内容を審査して削除するよう命じることは「検閲」に該当し、違憲となります。
日本でも起こりうる「間接的な検閲」のリスク
ザッカーバーグ氏の暴露は、日本にとっても他人事ではありません。日本でも、政府がSNS運営会社に対して「事後的に削除を要請する」ケースがありますが、これが過度になると間接的な検閲に発展する可能性があります。
特に、デジタル庁や総務省がSNS企業に対して行うガイドライン策定や削除要請が、政府による情報統制と見なされるリスクがあります。
表現の自由と検閲の境界線を考える
政府の役割とSNS運営の課題
政府は誤情報やヘイトスピーチから国民を守る必要がありますが、過度な情報統制は表現の自由を侵害するリスクがあります。
一方で、SNS運営企業は、プラットフォーム上の健全なコミュニケーションを保つ責任があります。しかし、政府からの圧力に屈してしまうと、企業が検閲の道具となりかねません。
日本における議論の重要性
日本でも、SNSに対する政府の介入が増える中、「どこまでが正当な規制で、どこからが検閲に当たるのか」についての議論が必要です。
まとめ
- マーク・ザッカーバーグ氏が暴露したバイデン政権からの圧力は、SNS上の検閲問題として国際的な注目を集めています。
- Meta社はファクトチェック制度を廃止し、表現の自由を促進する方向にシフトしています。
- 日本国憲法では検閲が厳しく禁止されていますが、政府のSNSへの関与が増える中で、間接的な検閲のリスクが懸念されています。
SNS時代における表現の自由と政府の規制のバランスについて、今後も注視していく必要があります。
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